今年も性懲りもなく上がってきた。けして俺は「趣味は山登り」などとほざける輩ではない。去年も茶臼岳は片手も来ていない。ただ単に那須岳が好き、那須岳の頂上に那須岳好きの仲間が集うこの日、開山祭が好きなだけなんだ。
那須岳はかつて山岳信仰の山で、湯本口側は高湯山、三斗小屋口側は白湯山と呼ばれていた。5月8日は嵐除け・農業神としての御利益がある高湯山信仰、後の那須嶽神社の開山祭で、各地から梵天を担いで神社に奉納する行事が行われていた。現在は那須温泉神社奥宮(那須嶽神社)で今シーズンの登山者の安全祈祷が行われる。現在の閉山祭は11月9日で、以前は旧暦の8月9日だった。
先達を務める山伏は「那須修験道昇龍講」の方々。 先達とは、参拝者を連れて山の霊場を案内するガイド的役割のこと。高湯山の先達は観音寺といい、檀家を持たないで村民の祈祷を行う里修験であったという。
今回は佐貫観音奥之院 平成のご開帳でご活躍された福聚山東海寺の渡辺副住職もご参加されている。俺はこの辺ですでにへばってヒィヒイ言ってる。
鳥居の手前で手ぬぐいを渡され、石を頂上に運ぶ役割を任される。
ぞくぞくと頂上に集まってくる登山者たち。盛り上がってまいりました!!
関係団体が続々と玉串を奉納していく。今年はよい天気で風も吹くこともなく 最高のコンディションで無事開山式は終了した。
開山祭のあと、那須修験道昇龍講の皆さんと拝所を回ることに。茶臼岳は白湯山/高湯山信仰においては「月山」と呼ばれている。白湯山/高湯山信仰は出羽三山(湯殿山・月山・羽黒山)の信仰を勧請したものなので、拝所の名称や形態を模倣している。
お鉢に降りる尾根から頂上
頂上からお鉢
茶臼岳頂上からみて北にある岩塊の上に移動。那須修験道の方々はこの拝所を「ノゾキ」と呼んでいる。
修験道では、断崖絶壁から身を乗り出したり、あるいは逆さ吊りになって奈落を見下ろし恐怖を味わうことで、今までの罪を懺悔する行を「ノゾキ」という。
つづく