室野井の馬頭観音をみてから宇田島へ。那珂川左岸の酪農家が何軒か連なるエリアだ。道路の感じは圃場整備されてしまっていて旧道の雰囲気はない。
集落を過ぎたあたりに六手の金剛青面の庚申塔があったが目的の道標が見つからない。もう一度引き返すと集落の一軒目の脇にお堂をみつけた。お堂の周辺にあるのか?とりあえず車を降りて近所のお宅に話を聞きに行く。
軒先で家長と思われるおじいさんが日向ぼっこをしていた。ダメ元で話しかける。1オクターブ高い声で、きわめてほがらかに。
趣味で石仏を調べてましてぇ このへんに江戸時代の道標があると聞きましてはるばる伺った次第なんですがぁ ・・我ながらあやしい訪問者。
お呆けになられているかと思われた老人は、きわめて明瞭に家の裏手に昔の道があり追分に二十三夜塔と左 山道 右 横沢の道しるべがあることを教えてくれた。家の中にいたおばあちゃんも出てきて、どうしたのおじいさん、いや実はこれこれ、まあ!わざわざこんなところまで・・みたいな至福の歓迎ムード。ああ石仏巡り最高!
裏手を流れる沢を渡るとすぐに二叉路。そのたもとにいくつかの石仏がまとまっている。立派な二十三夜塔、そしてその前に探していた道標があった。
宇田島の供養塔道標 緯度: 37.04692 経度: 139.97483
角柱 宝暦14年(1764)48×21×15㎝
[正面]
宝暦十四申天
蓮乗童子位
□月十八日
[右]
右ハよこさわ
[左]
左やまみち
月の上は剥離していて「六月」にもみえるが宝暦は13年までで翌年6/2に改元しているので18日はない。
「右ハよこさわ」方面を進むと室野井の馬頭観世音道標の「左 板室」の道に出て、そこから北東に横沢方面へ向かった。その道を基にしたと思われる道路が現在も使われている(グリーンヒル柳沢分譲地の道)。