がりつうしん

那須野ヶ原を中心とした話題と与太話、ほぼ余談。

和泉屋旅館@福渡戸

塩原温泉古式湯まつり 温泉ふるまい巡りのラストは福渡の和泉屋旅館。

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まもなく創業480年になる老舗。戦国時代からやってるお店って。明賀屋駐車場にある高尾塚建立(文化13年)に関わっていたり、戊辰戦争の際、郡上藩凌霜隊が塩原口守備のために駐屯していたのが和泉屋だ。先代田代太平(筆名泉漾太郎)氏の交友関係もあり文人画人に愛され、多くの筆跡が残されている。

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和泉屋で思い浮かぶのはこちらの建物、フクちゃんポストとさるすべりのある旧館(別館「文学亭」)だろう。福渡は戦後に大火があったので、それほど歴史のある建物ではないのかもしれないが、雰囲気のある落ち着いた構えだ。

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近代的な建物の本館ロビーに声を掛け、地下通路を通って別館「文学亭」側に向かう。

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現在は別館側の部屋での宿泊は受けておらず、浴場や宴会場などの施設だけ使用している。地下階(別館は箒川のほとり段丘下に建って居るので一階)は天井が高く、コンクリ建築だけど歴史がありそう。

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これがデミオさんオススメの大浴場。当時の建築技術のせいなのか窓枠が高く暗い。せっかくの川沿いなのに水面が見えない。いや、万が一の川の増水を考えると、この高さになってしまうのかな。お湯は最高にすばらしい。俺的には薄暗さも鄙びた感じも味があってすごく良かった。

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郡上藩凌霜隊の矢野原与七が残した手記「心苦雑記」には福渡の当時の様子が描かれている。川端に温泉が五ケ所あり、このうち「裸湯」という湯の中に「ハラミ石」という大きな石があったという。子のない女が入湯の際この石に抱きつけば、必ず子が出来るという奇石で、病にも霊験あらたかと張札があったという。

塩原温泉紀勝」(M30)によると、福渡戸には当時、不動ノ湯、岩ノ湯、冷ノ湯、泡ノ湯、薬研ノ湯、そして裸ノ湯という泉源があったそうだ。「不動ノ湯」「岩ノ湯」は一般に開放されている露天の共同浴場だ。「冷ノ湯」「泡ノ湯」は地元の方用の共同浴場の名称として存在している。もうひとつの共同浴場「子持の湯」が件の「裸ノ湯」だったのだろうか?裸ノ湯は「婦人生殖器ノ慢性諸病」に効く湯とある。
ちなみに福渡では「子宝明神」にお参りして「岩の湯」に入ると子宝に恵まれる、と言われている。共同浴場「岩の湯」の脇に古い子宝明神の祠と金精神が祀られている。

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別館文学亭玄関奥のギャラリー。文士達が構想を練った箒川のせせらぎが聞こえる客室に一度泊まってみたかったなあ。