がりつうしん

那須野ヶ原を中心とした話題と与太話、ほぼ余談。

大杉榮なう



新聞の書評で中森明夫の名をみて、新潮の5月号を買ってみた。にわかパンクスの少年に大杉栄が憑依する話。イタコおばばにシド・ヴィシャスを降ろしてもらおうとしたら、アナーキストつながりで大杉栄が取憑いてしまうんだけど、なかなか痛快な話で楽しめた。辻潤大杉栄は俺の中で特別な存在だ。中森明夫に関しては’90年代に週刊SPA!の中森文化新聞を読んでいたぐらいで、アイドルとサブカルの人、ぐらいの印象しかないのだが、なぜ今大杉栄だったのか興味がある。主人公の少年に大杉栄の生きた時代の出来事を追体験させるシーンは、あちこちの文献のツギハギの感は否めないが、大杉栄の疾走する姿がシドよりも数万倍イカしていたことを読者に理解させるのに充分であったろう。ラスト近く、政治家のパーティーで「ぶっ壊せ」が常套句の元首相を刺殺する妄想のシークエンス(山口二矢!)を入れたのは驚いたが、まあハッピーエンドでよかったよかった。現実に戻ってTVのルーピーニュースを見て、結局気が滅入るんだけどな。