今市日光街道(R119)から二宮神社参道へ入り、今市報徳二宮神社正門前の路地を左折する。
曲がってすぐ、クリーニング屋の角を左に入ると、今話題のスポット、「analogbooks」「cocoloya」「日光珈琲・饗茶庵」のある玉藻小路がある。
入口右手が新進気鋭の古本屋「アナログブックス」、その奥がギャラリーの「cocoloya」、左手の建物が「日光珈琲」だ。
「金次郎長屋」と呼ばれたこの辺り。「日光珈琲」の建物は、かつての遊郭(twin記事)、連込み宿(下野新聞記事)として使われていたものらしい。今までカフェ・ブームに乗ることはなかったが、廃なるもの好きにとっては是非訪れておきたいお店だった。
この建物はかつての遊郭だった取り壊し寸前の廃屋を、妓楼独特の意匠を残して生かしつつ、3年の歳月を掛けて改修したのだという。今市の遊郭は朝日町3丁目、西裏・新地と呼ばれた場所で、大正期の集団移転に参加しなかった妓楼が、その後は連込み宿として営業を続けていた、ということだろうか。
以下スタッフさん了解の元、撮影させていただいた店内の写真を掲載いたします。
入口 床の意匠
入口から入るとフロアは一段高くなっている。メインの通路を入口から厨房方面。通路右手のテーブル席は当時の壁仕切りを残してある。左手は壁と天井を抜いてしまって、屋根裏が丸見えだ。
テーブル席からキャッシャー。垂直な柱は当時のもので、ほぞ継ぎの穴があちこちにある。斜めの柱は耐震用に足した物。キャッシャーの置いてあるショーケースは当時の作りつけの物か?脱脂綿とかが入っていたのだろう。台の表面がタイル張りになっている。
欄間横柱の釘隠の牡丹。
メイン通路、トイレ・厨房側から。どうやら、かつてはこの通路の左右にいくつかの個室があったようだ。
窓際のテーブル席。欄間に引き戸の溝が。納戸か押入れがあった場所か。
入口からフロアに上がって左手を見上げると、なんと庇が張り出している。天井を抜いてみたら、以前の玄関口の庇が顔を出したという。増築・改築を繰り返した名残だ。当時は東側に玄関があったということか。
内側にはロフトのように一段高くなった中二階の部屋がある。ここが待合室で、妓楼独特の意匠があちこちに残る一番の見所。入口の雲のような模様の突起は「木鼻」と呼ばれるもので、寺院建築で本来は横材の飛出しに施されるもの。日光珈琲のフライヤに大きく写っていたのはこれだったのか。欄間の飾りには色ガラスがはめ込まれている。
格子天井。モダーンに見えるから不思議。ブルーの大きな市松模様もしっくりきている。
オーナーがこの空間をカフェに生かしたかったのは分からないでもない。手摺りにもたれてアンニュイに外を見つめる娼妓さんが目に浮かぶようだ。
一段高くなった待合いの下にはガラスの引き戸が。果たしてここは何のスペースだったのか。
あちこちに後付けのアンティークも施され、不可思議で魅力的な空間が作られている。省費用のためDIYで行われたチープな内装もいい味となっている。
いい味と言えば、今回頂いたメニュー。
さつきポークの具だくさんガレット ドリンク付1600円