日光東照宮の門前町の鉢石は、今も昔も日光東照宮を訪れる旅行者たちで賑わっている。
今回の街道歩きで、普段は車窓から眺めることしかなかったこの町並みを歩くことができた。
創業が江戸期の店がいくつも残っていることに驚く。年季の入った店構えも多い。
特徴的なのは羊羹屋の多さだろう。寺社が集まっている地区なので、お茶請に和菓子がもてはやされたのはわかるが、なぜ羊羹ばかり?
そんな日光の羊羹屋のなかでも人気のあるのが「ひしや」だ。創業は明治元年。商標のデザインがシブい。松皮菱に眠り猫。
商品は「練りようかん」一種類のみ。店を入るとカウンター前の雛壇にズラリと羊羹のパッケージが並んでいる。帳場裏は引き出しがいっぱいあって歴史を感じさせる。昔から毎日釜ひとつ分しか作らないので、先代の主人が店頭に立っていた頃は、ひとりのお客に1本しか売ってくれなかったのだそうだ。伝統の味と品質を守るために、数量限定は変わっていない。
ほかのお店は商品紹介のサイトを持ったり、水羊羹など商品のバリエーションを増やして特化をしようとしているのに、ひしやは至ってマイペース。貫禄です。
ずしりと濃厚な練りようかん。竹皮に包まれて、結晶に戻った砂糖が表面に浮いている。
ひしや羊羹店
日光市上鉢石1040