がりつうしん

那須野ヶ原を中心とした話題と与太話、ほぼ余談。

田の中の五輪塔@東岩崎



伊王野から東岩崎集落へ奈良川精進橋を渡る手前、田の畦に小さな五輪塔がある。この五輪塔には悲しい言い伝えがある。いつの時代のことか、口減らしのためにもらわれた子供が、重労働のあげく亡くなってしまい、気の毒に思った里の人たちが供養の為に建立したものだという。

この言い伝えを知ったのは「那須町史」民俗編の伝説・昔話採録集なのだが、こんなヘヴィーな内容の昔話が語り継がれていたことにハッとした。囲炉裏端で、寝物語で語られる昔話は、良い行いをする者には幸せが訪れるといったようなハッピーエンドな話、悪い行いを戒める話、または子供が興味を覚えるような不思議な話、怖い話などが主なものだ。

この「田の中の五輪塔」は子供達にとっては「怖い話」部門に入るのだろうか。勿論、不幸な子供の霊をなぐさめる里の人の優しさにホンワカ要素がないというわけではないが、ストーリーに教訓めいたものはない。冷害や日照りで飢饉が起ったり、食い扶持を減らす為に子供を売買せねばならないような過酷な日常が、かつてこの土地であったということ。これが江戸期の話だったとしても、大正末から昭和初期にも大凶作、昭和恐慌があり、口減らしのために奉公に出されることは身近な出来事だったはずだ。その頃の子供達にとって、この話はとてもシリアスな内容だったのだ。もしかしたら、良い子にしてないと奉公に出してしまうよ、みたいな脅しの躾け話だった?



那須町は点在する山村の数だけ昔話があるのでは、と思うくらい多くの伝説・昔話が採取されている。しかも伝説の舞台、設定がしっかりしていて、物語に出てくる祠や大岩などがホントにあったりするのはおもしろい。「那須町史」民俗編は方言ことばの採取も多岐にわたり優れていて、シモ関係も充実!飽きません。 芦野宿と伊王野の里ガイドブック 民話
広告を非表示にする