がりつうしん

那須野ヶ原を中心とした話題と与太話、ほぼ余談。

被災した不退寺の千手観音

新富の時宗不退寺で法事。不退寺は、先月の震災で本堂も庫裏も特に被害はなかったそうだが、境内の大灯籠が崩れてしまったのと、ご本尊、阿弥陀如来像そして千手観世音菩薩像を破損されたとのこと。須弥檀中央の位置に鎮座するご本尊がご不在だったのはそういうことか。位牌を納めている場所は檀家さんの位牌が全て倒れてメチャメチャになってしまったそうだ。

住職の講話のなかで今市地震の想い出が出てきた。当時住職は中学生、大田原中学校への登校時、同心町を通りちょうど忍精寺の前を通りかかった時、地鳴りのあとに大きな揺れがあったという。怖くて一度家に戻ってきてみると、境内にあった池の水が溢れていたそうだ。今市地震は朝だったんだね。

そのあと津波災害、原発事故に話は及び、ご先祖様が脈々と引き継いできた生命のリレーを、安心して生活できる世の中を、次の世代に渡していかなければいけないこと、便利すぎる生活を見直すべき時が来ている旨のお話をされた。

講話のあと、須弥檀裏に安置されている千手観音を観に行った。

f:id:gari2:20141201232442j:plain

像は完全に倒れたわけではなく、前につんのめった際に腕と飾りが折れてしまったようだ。天冠台上の十一面、錫杖手と 戟鞘、合掌手にかかる天衣がない。ビニ紐で緊縛されたおいたわしいお姿もりりしい・・。
天文年間、大田原資清が大田原城を水口から前室に移した際に、東の守りとして中田原湯泉坂のふもと、荒屋敷に荘厳な観音堂を建立し安置したという。それから数百年、お堂は荒廃し不退寺に安置されるようになったのだ。南北朝時代の作。早く落ち着いて修復できるといいですね。

そのあと境内にある墓地でお墓参り。まだ倒壊したままの墓石や飾りがある。寺のまわりの新道界隈も石塀があちこち倒れたままになっている。