がりつうしん

那須野ヶ原を中心とした話題と与太話、ほぼ余談。

藤豆の鞘

車庫の方でパチンパチンと音がして、何かと思ったら隣の家の藤棚の鞘が盛んに弾ける音だった。

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この日は天気も良く空気も乾いて、乾燥注意報が出ているので火事に気をつけるよう広報車が走り回るような日だった。湿度の低下で極限の乾燥状態に達した藤豆の鞘が一斉に弾ける現象は、普段仕事で家にいない自分にはなかなか巡り会えない状況だな、などと感心していたら、子供らが面白がって地面に落ちた藤の実を競って拾い始めた。ついにはまだぶら下がっている鞘を取るんだと棒を振り回している。不意にはじけて飛んでくる藤鞘におののきつつ、無邪気に突付く子供らに、まかり間違って失明でもしないかと高枝切バサミで鞘を切ってやる父であった。

藤の実 寺田寅彦 青空文庫

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