がりつうしん

那須野ヶ原を中心とした話題と与太話、ほぼ余談。

山王茶屋

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福島県と栃木県境近くの山王峠の麓にあった「山王茶屋」は、平成2年に解体され、16年に奥会津博物館(旧 奥会津地方歴史民俗資料館)の敷地内に復元された。山王茶屋は会津西街道沿いに現存する唯一の本陣形式の建物だ。 

 

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山王茶屋は江戸初期の元和3年(1617)に糸沢宿・横川宿の中間の休憩地として作られた。峠を越える行商人や旅人が休憩・宿泊したリ、また参勤交代の際に殿様が休憩する地点として利用された。戊辰役で西軍に焼打ちされ消失したが、早くも明治2年(1869)には全く同じ間取りで再建された。

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間取りは、風呂場、台所、馬屋のほか5部屋の客間と二階部屋があり、上段の間はない。一般旅客入口とは別に武士階級専用出入り口「のっこみ」がある。運輸の中継点としての機能もあり、10頭ほど入る馬屋があった。

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これが「のっこみ」部分。乗り込み玄関のことで、馬に騎乗したまま建物の中に入ることが出来る入口、と解釈していたんだけど、玄関ポーチのようなもの?そういえば上伊佐野にも「のっこみ」のある旧家があるとか。
そのほかにも敷地内には18世紀前半に建てられた「旧猪俣家住宅」や、染物屋、木地師小屋などの移築した家屋が集められている。これだけイイ感じの家屋をいくつも見学できたのだけれど、なんだか物足りない。そう、あの懐かしい煙たい匂いがないのであった。

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山王茶屋のあった街道沿いは、今も多くの旅行者達の休憩場所として大いに賑わっている。山王茶屋はちょうど「道の駅田島」の附近にあったのだ。茶屋の建物の持ち主だったお宅のすぐ隣には、峠の安全を見守っていた山王権現社の合祀された日吉神社が今もひっそりと佇んでいる。